2 100万分の1回のねこ / 谷川俊太郎 ほか
◎この本の説明◎
1977年に刊行された佐野洋子の名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる短編集。人気作家13人による短編小説や詩のアンソロジー。
著者は、江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎。
◎この本を手に取った理由◎
実は『100万回生きたねこ』を読んだことのなかった私。
なんとなく、知っておいた方がいい気がするなぁと思いました。
そして、読書生活を始めるにあたって瀬尾まいこさん以外に読んでみたいと思う作家さんが思いつかなかった私は、有名作家の作品が詰まっているこの本を読んでみようと思いました。
この本の中で読んでみたいと思う作家さんがいたらいいな〜くらいの気持ちで手にとったのです。
◎記録◎
角田光代さんの「おかあさんのところにやってきた猫」でぼろぼろ泣いた。
「おかあさん」の大きな愛情で毎日過ごす猫。
家の中で大事に大事に育てられていた猫は、ある日外の世界を知って強く憧れるようになる。
外の世界に憧れ始めると、今までのあたたかい毎日は普通ではなく、それが邪魔にすら思えてくる。
とうとう、猫は外へと飛び出してしまいます。
そして、思い出たっぷりの家から遠く遠く、うんと遠くへ行き、新しい生活を始めた猫。
しかし、やがて体が思うように動かなくなった時、ふと昔育った家を思い出して体を引きずりながら、かつて逃げてきた道を辿ります。
「おかあさん」は家の庭で猫を見つけますが、その猫が、あの「私のかわいい」猫とは気付きません。
それでも猫は庭に居続けて最期はそこで死んでしまう。
亡くなってしまった猫の体を「おかあさん」が柔らかく抱き上げる。
人間の子供も同じだなと思いました。
今までの積み上げてきた日常、家族が、もしかしたら普通ではないのかもしれないと気付いたときから、気持ちは外へ向きます。
でももしかしたら、あの積み上げてきたものがとてもかけがえのないものだったと気付いて、戻ってくるときがくるかもしれません。
もし、私に子供ができたら、とにかく大きな大きな愛情を注ぎたいと思いました。
1 天国はまだ遠く / 瀬尾まいこ
◎あらすじ◎(Wikipediaより)
仕事も人間関係もうまくいかず、息が詰まりそうな辛い毎日に疲れた千鶴は、会社を辞めて死ぬことを決意し、北へ向かう特急電車に乗った。そして辿り着いた山奥の民宿たむらで、大量の睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の主人・田村の大雑把な優しさに少しずつ癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々を送る中で、しだいに千鶴は自分の居場所がここにないことに気づいてしまう。
◎この本を手に取った理由◎
田舎暮らしを始めて数ヶ月、なぜだか急に活字を追いたくなりました。
おそらく、ゆっくりゆっくり過ぎていく日常に焦っていたのだと思います。
でも、せっかく読書を始めるなら三日坊主で終わらせたくない。
そこで、昔読んでとても心に残った「卵の緒」の作者 瀬尾まいこさんの本から始めようと考えました。
この本の主人公は、毎日が嫌になってどこか遠くへ行ってしまいます。
当時のわたしも彼女と同じようにどこか遠くに行きたくて、でも現実的にはそれができそうになかったので、この本にその思いを託したかったのだと思います。
◎記録◎
生きていることが嫌になり、あてもなく特急電車に乗り、たどり着いたのは山奥の民宿たむらだった。
その場所は自然に溢れていて、食べるものや見える景色全てが新鮮。
今まで同じものを食べ、見てきた時にはボンヤリしていた何かがハッキリしていく日々。
きっとこの生活を続けていたら、豊かな人間になれるんだろうと思うけども、結局は居場所がないということに気づいていく。
ずっとそこに住むたむらと、週末だけ山に来るパン屋のおばさん、そして主人公の千鶴、出てくる登場人物によってそれが対比されていたと思う。
生きる場所は、人それぞれによって違うということ。
でも、置かれている環境があまりに自分にとって辛いのなら逃げてもいいと思った。
印象的だったたむらの言葉。
ー命を手にすると、神を感じてしまうねんなー
読書リスト
1 天国はまだ遠く / 瀬尾まいこ
2 100万分の1回のねこ / 谷川俊太郎 ほか 5/20了
3 強運の持ち主 / 瀬尾まいこ
4 昨夜のカレー、明日のパン / 木皿泉 6/14了
6 風に舞い上がるビニールシート / 森絵都 6/14-25
8 蛇行する月 / 桜木紫乃 6/28-30
9 仮面山荘殺人事件 / 東野圭吾 7/1
10 卵の緒 / 瀬尾まいこ
11 夏美のホタル / 森沢明夫 7/12-15
12 理系の料理 / 五藤隆介 7/13-15
14 きみしか聞こえないーcalling youー / 乙一 7/20
15 夏と花火と私の死体 / 乙一 7/21-23
16 「学力」の経済学 / 中室牧子 7/23-25
17 終点のあの子 / 柚木 麻子 7/25-26
19 イノセントデイズ / 早見和馬 8/5了
21 蛇を踏む / 川上弘美 8/8~